日経新聞社説 - 共同記者会見を避けた日米関係の秋

両首脳がテレビカメラの前に現れながら、記者団の質問に答えずに去った光景は象徴的だった。

 日米関係に限らず、あらゆる国際関係に懸案があるのは普通であり、大きな問題もあれば、小さな問題もある。首脳会談を準備する外交当局はそれらを点検し、小異を残し、大同を強調する演出を考える。

 日米間には長い同盟関係の蓄積があり、しっかりした大同があるのだから共同記者会見で小異を突かれたくないと両首脳あるいは外交当局は考えたようだ。両首脳が並んで質問に答えれば、食い違いが浮かび上がり、小異が小異にとどまらなくなると心配したのだろう。

 それは日米関係の基礎とされ、常に良好とされてきた安保関係で起きている問題の深刻さを示している。福田首相はインド洋での給油再開の明確な見通しを語れない。ブッシュ大統領北朝鮮テロ支援国家指定を解除しないと明言できない。